少年事件に強い弁護士事務所 弁護士法人 渋谷青山刑事法律事務所(東京都渋谷区)
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こちらでは,少年事件における器物損壊罪について解説していきます。
器物損壊罪でいうところの損壊とは,物本来の効用を失わしめる行為をいいます。そのため,物自体を破壊していなくても器物損壊罪が成立することはあります。判例では,看板を取り外して空き地に投げ捨てた行為やポスターにシールを貼った行為なども器物損壊の損壊に当たるとされています。また,動物に対して,危害を加える行為を行うことも器物損壊罪に当たります(例:池で泳いでいる鳥に対してボーガンで射る行為など)。器物損壊罪については,刑法第261条で規定されています。
なお,建物を物理的に毀損したり,その効用を滅却・減損したりした場合(例:建造物の窓ガラスに大量にビラを貼る行為など)には,建造物損壊罪が成立します(刑法第260条前段)。
ビラを貼る行為や物を汚す行為について,器物損壊罪が成立しない程度であっても,軽犯罪法第1条第33号違反になる可能性はあります。
前3条に規定するもののほか,他人の物を損壊し,又は傷害した者は,3年以上の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
他人の建造物又は艦船を損壊した者は,5年以下の懲役に処する。
器物損壊罪については,少年事件であっても刑事事件と同様に,自分の感情を上手くコントロールできずに物に当たってしまって,器物損壊罪になってしまうというケースが多く見受けられます。また,少年であるにもかかわらず,酒に酔った勢いで事件を起こしてしまうパターンや仲間に囃し立てられて事件を起こしてしまうパターンも多いように思います。その他では,いたずら・嫌がらせ目的で,他人の自転車や携帯電話などを川に投げ捨てるなどの行為が器物損壊罪に当たります。
器物損壊罪の場合には,法定刑もそれほど重くなく,少年が行った行為自体,他の犯罪と比べて悪質とまではいえない場合も多いため,少年が罪の意識を持ちにくい面があります。確かに,器物損壊罪だけで事件化されても,最終的な処分として,審判が開かれなかったり,審判が開かれても不処分になったりすることも多くあります。しかし,このような少年の行為は,少年の精神面と直結しており,早い段階で少年の問題点を見つけてあげて,改善していかなければ,大きな事件につながりやすいところがあります。また,上記の例でも見たように,少年が悪い仲間とつるんで器物損壊行為をしたり,飲酒の上で器物損壊行為をしたりした場合には,犯罪行為そのものだけでなく,少年の交友関係や生活態度なども加味して,家庭裁判所が重い処分を下すことはありますので,注意が必要です。
総 数 | 建造物の関連物 | 車 両 | 自動販売機 | 看 板 | 動植物 | その他 |
140,802 (100.0) | 39,211 (27.8) | 82,865 (58.9) | 1,355 (1.0) | 2,057 (1.5) | 869 (0.6) | 14,445 (10.3) |
器物損壊罪の場合,初犯の少年がいきなり逮捕・勾留される可能性はそれほどありません。しかし,少年の器物損壊行為の回数が非常に多かったり,少年の生活態度や交友関係が悪かったりすると,器物損壊罪であっても逮捕・勾留されることはあります。器物損壊事件では,当初警察は在宅事件として扱おうとしていたけれども,少年の態度が悪すぎたために,逮捕されてしまうといったケースもありますので,早い段階で弁護士に相談して今後の対応を検討した方がいいでしょう。また,逮捕・勾留されてしまったとしても,捜査段階で弁護士が弁護人として付いて弁護活動を行っていけば,少年に対して観護措置(少年鑑別所に収容すること)が取られない可能性は十分にあるので,捜査段階で弁護人を付けて,弁護士に観護措置回避の意見書を出してもらうなどの弁護活動をしてもらった方がいいでしょう。
器物損壊事件の場合には,被害者に財産的被害が出ているため,弁護士を通して,被害者に対して被害弁償をすることが重要になってきます。この被害弁償については,犯人や犯人の家族が直接行うケースもありますが,事件によっては,被害者が経済的な損失以上に少年の犯行に対して怒りを感じている場合もありますので,直接の交渉はあまりお勧めできません。弁護士に頼んで,被害者と示談できれば,少年の身柄が拘束される可能性,最終的な処分で少年が重い処分になる可能性が格段に下がりますので,弁護士を間に入れて,示談交渉を行っていくのがいいでしょう。
また,器物損壊事件では,事件の際に飲酒をしている場合や不良仲間と交友している場合などがよく見受けられますので,少年に規則正しい健全な生活を送らせ,少年の人間関係を健全なものに変えていくことが重要になります。そうすることによって,少年の問題点が解消され,再非行の可能性がなくなっていくことになります。
これまでにも前歴を有する少年が友人らと酒に酔った勢いで路上にある喫茶店の看板と美容室のガラスを破壊した器物損壊事件。
この事件で,少年は器物損壊の容疑で逮捕されましたが,酔いがさめてからは冷静になり,自分の起こしたことについて深く反省していました。弁護士(弁護人)は,喫茶店と美容室の両方の被害者と示談交渉し,少年の謝罪の気持ちを伝えたところ,両方とも示談が成立しました。また,少年は仕事をしていましたが,弁護士が職場の上司に連絡して,事件の内容や少年が反省していることなどを伝えた結果,少年はそのまま解雇されずに働き続けることができました。
少年は,逮捕・勾留されたものの,弁護士が家庭裁判所に意見書を提出し,少年が生活態度を改める強い決意があることを訴えたところ,東京家庭裁判所立川支部は少年に対して観護措置をとらず,少年は鑑別所に行くことはありませんでした。最終的には,少年は家庭裁判所の審判で保護観察処分となりました。
市が設置した物を友人と一緒に金具を使って傷付けたという,器物損壊保護事件において,少年が家庭裁判所に送致された後に,当事務所の弁護士が付添人として選任されました。
弁護士が付添人として選任された時には,既に地方の家庭裁判所で観護措置決定(少年鑑別所に収容されること)がなされていましたが,少年は事実を素直に認めており,少年鑑別所において資質鑑別を行う必要性も明らかではありませんでしたので,早期の釈放を求めることとしました。弁護士が家庭裁判所に対して観護措置の取消を請求したところ,その請求が認められ,弁護士が付添人として選任されてから数日の間に,少年を釈放させることができました。
審判においては,少年が従属的な立場にあったことを主張しつつ,自分自身の問題として反省を深めていることを裁判官に伝えていった結果,少年には保護観察処分(一般短期)が言い渡され,少年院に行かなくてすみました。
少年が車内で被害者に対してわいせつな行為を行ったことにより,警察に逮捕・勾留された強制わいせつ事件。また,それに伴い発覚した迷惑行為防止条例違反事件,器物損壊事件(被害者の自転車のサドルを汚した行為)。
この事件で,当事務所の弁護士は,少年が警察に逮捕された直後に,弁護人として付きました。少年には他にも余罪がありましたが,弁護士の弁護活動により,家裁送致される事件数を抑えました。また,少年は,在籍している学校に復学することを希望していたため,弁護士が警察・検察や裁判所に対して,学校への連絡を控えるように交渉した結果,警察・検察も家庭裁判所も弁護士の意見を聞き入れて,事件の内容を学校に伝えることはしませんでした。
その後,弁護士は被害者側と示談交渉を行い,強制わいせつ事件の被害者と無事に示談を成立させました。審判期日までに,他の事件についての示談は成立していませんでしたが,一部被害者とは示談が成立し,本件各事件について少年が自分の問題点に気付き反省を深めていること,少年の家族も少年に対して指導監督する体制を整えていることなどが評価され,少年は保護観察処分となり,少年院に送致されることはありませんでした。また,これにより,少年は本件事件の内容を学校に知られることなく,無事に復学でき,生活環境を大きく変えずにすみました。
代表弁護士:二宮 英人
(東京弁護士会所属)
弁護士登録をして以降,少年事件・刑事事件を専門分野に活動している。これまでに100件以上の少年事件で弁護人・付添人を務め,少年事件・刑事事件共に多くの解決実績を有する。
主な解決実績
・強制わいせつ事件における非行事実なし
不処分決定
・再度の保護観察中の傷害事件における
不処分決定,など
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2024年6月24日
・二宮英人弁護士が漫画「ハジメテノサツジン」で,法律監修を行ないました。
2024年5月29日
・有原大介弁護士が「日刊SPA!」で,不同意性交等罪についてコメント・解説をしました。
2023年10月26日
・二宮英人弁護士がABEMATVの番組で,未成年の性犯罪についてコメント・解説をしました。
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