少年事件に強い弁護士事務所 弁護士法人 渋谷青山刑事法律事務所(東京都渋谷区)
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こちらでは,少年事件における交通犯罪(道路交通法違反,自動車運転死傷行為処罰法)について解説していきます。
交通犯罪と一口に言っても,様々な種類があります。まず,少年の場合に典型的なのは,暴走族などによる共同危険行為事件(暴走行為)です。この共同危険行為については,道路交通法第68条,第117条の3で規定されています。
また,速度超過や信号無視,無免許運転,酒気帯び・酒酔い運転などの道路交通法違反事件についても交通犯罪として,一般の少年事件とは異なる取扱いになっています。さらに,被害者のいる自動車運転死傷行為処罰法違反事件なども交通犯罪に含まれます。
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は,道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ,又は並進させる場合において,共同して,著しく道路における交通の危険を生じさせ,又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
第六十八条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は,二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
次に掲げる行為を行い,よって,人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる
行為
2 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4 人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行
中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車
を運転する行為
5 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生
じさせる速度で自動車を運転する行為
6 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により,又はその他法令の規定により
自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって,これを通行することが
人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行
し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
共同危険行為を行う少年については,少年自身の問題というよりは少年が所属する不良集団に大きな問題があることが多いです。そのため,少年がその不良集団から脱退し,関係性を断ち切ることが重要です。ただ,この手の不良集団は,地域に根付いている場合がほとんどですので,少年が生活環境を変える(引越しをする)しかない場合もあります。
また,共同危険行為を行う少年の中には,人に危害を加えていないから問題ないという誤った考えを持ってしまっている少年もいます。そのような場合には,審判までの間に,弁護士が少年に対して,少年の考えがいかに幼稚で誤った考え方であるのかを諭していく必要があります。
このような問題が解消されれば,審判において保護観察(もしくは,試験観察)になる可能性は十分にありますが,解消されなければ,裁判官から少年の再犯可能性が高いと見られ,共同危険行為の場合には,少年院に送致される可能性もあります。
少年が兄や友人らと共に公道上を普通自動二輪車で集団暴走したとして道路交通法違反に問われた上,友人が警察官ともみあいになっているのを仲裁する際に,警察官に対して暴行を加えたとして,公務執行妨害に問われた事件。
少年には,本件以前にも非行歴が認められ,恐喝行為と傷害行為に及んだとして,保護観察処分を受けていました。前非行の時と同じ友人と再度非行に及んでおり,交友関係が改善されていなかったことに加え,保護者を同じくする兄との共犯事件であり,保護観察中の再非行であったことから,少年院送致も強く懸念されました。しかしながら,弁護士(付添人)が前非行後に勤務をはじめた職場での勤務態度等から,前非行時から一定程度の更生結果が認められることを強く主張した結果,再度の保護観察処分を受けることができました。
少年が道路交通法違反を犯した場合であっても,その違反が軽微な場合(一般道における時速30キロメートル未満の速度超過,信号無視など)であれば,少年が交通反則金を納めれば,事件として終了し,家庭裁判所に事件が送られることはありません。
ただ,少年が無免許運転や酒気帯び・酒酔い運転などの重い違反を犯した場合には,通常の少年事件と同じような流れになります。少年の中には,免許を取得しないまま車を乗ることに抵抗感がなく,無免許運転を軽く捉えている子もいますが,無免許運転の事案では,共犯者の事情やその他の余罪の関係で,警察に逮捕される可能性もあります。少年が無免許運転などの重い交通違反を犯した場合には,少年が自分の犯した罪の重大性を十分に理解することが必要ですし,審判に向けた活動としては,無免許運転の場合には今後の免許取得に向けた活動,酒気帯び・酒酔い運転の場合には禁酒の取り決めなどをすることが重要になってきます。
交通犯罪の場合には,保護観察も一般の事件と異なった形になることがあり,比較的短い期間での保護観察になることが多いです(交通保護観察,交通短期保護観察)。この交通保護観察・交通短期保護観察では,交通法規などの指導を受けたり,これらの習得のための講習会へ参加したりする必要があります。
なお,少年の交通事件では,家庭裁判所での処分より刑事処分としての罰金刑に処する方が教育的効果が高いとして,検察官に逆送されることも他の少年事件より多くなっています。
少年が免許を取得せずに自動車を運転して被害者に怪我を負わせたままその場を立ち去ったとして道路交通法違反(無免許運転,救護義務違反),過失運転致傷で警察の捜査を受けた事件。
警察署から呼び出しがかかり,少年は警察に逮捕される寸前でしたが,当事務所の弁護士が弁護人に付き,警察官に事情を説明したことによって,少年は逮捕を免れました。その後,弁護士は,被害者と面会し,少年の反省を伝えたところ,被害者は本件につき示談してくれ,少年が身柄拘束される可能性がなくなりました。
本件は警察から検察に送致されましたが,被害者と示談していたことなどもあり,非行事実の一部については家庭裁判所に送致されませんでした。
少年が無免許でバイクを運転して事故を起こし,同乗者に怪我を負わせた道路交通法違反(無免許運転),過失運転致傷事件。
この事件では,事件発覚直後に当事務所の弁護士が少年の代理人・弁護人として付きました。本件では,少年自身も大怪我を負っていたため,弁護士が少年の入院する病院まで出向き,少年から本件に関する聞き取りを行いました。その上で,弁護士が少年に対して,警察署での事情聴取に関するアドバイスを行いました。少年は,弁護士のアドバイスに従い,警察署における複数回の事情聴取において,しっかりと自己の主張を行いました。
その結果,本件では,怪我をした同乗者側との間で示談ができていたこともあり,警察は事件を検察庁に送致しませんでした。
この場合には被害者が存在しているため,被害者に対する被害弁償や示談交渉が重要になってきます。また,少年が事故を起こしたことで,被害者にどのような被害を与えているのかを少年に深く考えてもらい,その反省の気持ちを審判で述べてもらう必要があります。
事件の内容にもよりますが,この種の事件については,逆送されて刑事処分が科せられる可能性もあります。また,事件が少年の無謀な運転やルールを守る意識のなさなどから生じた場合には,成人よりも厳しく判断されることもありますので,弁護士としては,審判までに,少年に対して,自分の犯した罪の重さを真剣に考えるように働きかけ,交通規則をしっかり守らせていくように働きかけていくことになります。
交通犯罪による保護観察対象者の数も年々減少していっています。
年 次 | 保 護 観 察 処 分 少 年 | 少 年 院 仮 退 院 者 | |
交 通 短 期 保 護 観 察 以 外 の 対 象 者 | 交 通 短 期 保 護 観 察 の 対 象 者 | ||
6年 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 | 8,266 7,786 7,908 8,413 7,990 8,315 7,494 7,098 7,308 6,072 5,268 4,619 4,621 4,068 3,811 3,505 3,595 3,075 3,006 2,607 | 35,409 31,717 30,893 31,319 30,633 29,684 26,447 24,546 23,334 20,435 18,560 15,916 14,101 12,706 10,455 9,908 9,485 8,276 7,809 7,327 | 480 444 447 508 510 568 611 631 684 706 625 493 428 456 408 439 354 345 288 287 |
反 則 行 為 の 種 類 | 車 両 の 種 類,反 則 金 額 |
速度超過 (高速35以上40未満) | 普通車:35,000円 二輪車:30,000円 |
速度超過 (高速30以上35未満) | 普通車:25,000円 二輪車:20,000円 |
速度超過 (25以上30未満) | 普通車:18,000円 二輪車:15,000円 |
速度超過 (20以上25未満) | 普通車:15,000円 二輪車:12,000円 |
速度超過 (15以上20未満) | 普通車:12,000円 二輪車:9,000円 |
速度超過 (15未満) | 普通車:9,000円 二輪車:7,000円 |
信号無視(赤色等)違反 | 普通車:9,000円 二輪車:7,000円 |
信号無視(点滅)違反 | 普通車:7,000円 二輪車:6,000円 |
安全運転義務違反 | 普通車:9,000円 二輪車:7,000円 |
代表弁護士:二宮 英人
(東京弁護士会所属)
弁護士登録をして以降,少年事件・刑事事件を専門分野に活動している。これまでに100件以上の少年事件で弁護人・付添人を務め,少年事件・刑事事件共に多くの解決実績を有する。
主な解決実績
・強制わいせつ事件における非行事実なし
不処分決定
・再度の保護観察中の傷害事件における
不処分決定,など
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こちらは,罪名別解説(少年事件)・交通事件(道路交通法違反)に関するページです。
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2024年6月24日
・二宮英人弁護士が漫画「ハジメテノサツジン」で,法律監修を行ないました。
2024年5月29日
・有原大介弁護士が「日刊SPA!」で,不同意性交等罪についてコメント・解説をしました。
2023年10月26日
・二宮英人弁護士がABEMATVの番組で,未成年の性犯罪についてコメント・解説をしました。
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